お見舞いで起きた恥ずかしいはなし
たぶん、20歳かそこらくらいの出来事だったと思う。
そのときの恥ずかしい思い出を、30歳目前になってからみんなの前で唐突に披露された。
その唐突に披露しやがった、くそおやじのお見舞いに行ったときに。
あの恥ずかしい気持ちを思い出すたび「あの、くそおやじ、本当むかつく」と今でもポロっと言葉が出てしまう。
そのくそおやじは、友達の義理のお父さんで、現場系の仕事をしてる人だった。
その友達とお父さんとはよく会ってたんだけど、なんで友達のお父さんと仲が良かったかっていうと、一緒にテニスをしてたから。
そのお父さん、つまりくそおやじはバツ4くらいの紋章を背負っていた。
なんでそんなに背負ってるんだ?と観察してみると、究極のさみしがりやらしい。
だから、自分の義理の子供の友達のグループに混ざって、よくバーベキューとか開催しながら、子供たちに混ざってみんなで遊んでいた。
思い出したくもないお見舞いのその日も、そのおやじが入院したから、一緒にバーベキューをした6人くらいで行った。
そのおやじの子供は性同一性障害で、6人の中にも何人かそういった人間がいたんだけど、まあそれはまた機会があったら書こうと思う。
それで、冬の時期の入院だったから、モコモコ靴下とか、写真を印刷してアルバムを作って持って行った。
みんなで和気あいあいと話していると、そいえばさ~とおやじが話し出した。
「昔、光(子供)とハナ(わたし)とボーリング行ったらよ~、
セックスした~いって叫ぶもんだから、
恥ずかしくてたまらなかったわ!勘弁してくれよ~ww」
おいおいおい。
勘弁してほしいのはこっちだ。
みんな反応に困って沈黙している。
わたしが何か返答すべきかどうなのかもわからない。
20歳そこそこの酔っぱらって調子にのってしまったときの話を、そこまで仲良くもない友達さんたちの前で披露するか?
「あ、ま、まぁ、あはは・・」という乾いた返事を、6人の中の一人がかろうじてしてくれた。
わたしも「あ、あはは~はは・・」というのが精いっぱいだ。
だから女に逃げられるんだ、と心の中で一千万回思った。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか」となるまでの数時間、気が気じゃなかった。
『いや、なんでバラした?』
『こいつ脳みそないんか?』
『おいおいおいおい・・・・・・』
そんな思考で頭が埋め尽くされた。
それから、その6人とは集まっていない。
そもそもおやじの子供と仲が良かっただけで、バーベキューとかで数回しかあったことのないメンバーがほとんどだったから。
30歳になって、セックスしたーい!!!と叫んでいた、と微妙な距離感の人たちの前で披露されるとは思っていなかった。
はぁ。
ここに書けたから、お見舞いでくらったはずかしエピソードはやっと昇華できる。
くそおやじ、天国でも元気でな!!